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せんだいみんなの庭計画

はじめよう、未来の現在

世界一美しいごみ箱プロジェクト

株式会社仙台協立では、定禅寺通のクリーンアップの
取り組みに参加しています。
ごみ拾いの中で見えてきたごみの集積所の課題から、
ごみ箱をごみを隠す場所としてではなく、
ごみや自然環境への前向きな関心のきっかけにする
「世界一美しいごみ箱プロジェクト」を始動しました。
〝世界一美しいごみ箱〟
が目指すものとは?プロジェクトに関わる
3人のキーマンが対談しました。

世界一美しいごみ箱プロジェクト
左から:丹野 俊敬氏、氏家 正裕氏、白石 圭太郎氏

対談

株式会社仙台協立
代表取締役

氏家 正裕

株式会社チャレンジドジャパン
代表取締役社長

白石 圭太郎

株式会社仙台銀行
取締役本店営業部長

丹野 俊敬

Interviewer

奥口 文結

おくぐち ふみゆ | FUMIYU Okuguchi
ファシリテーター / ブランドデザイナー

定禅寺通をきれいにすることからはじめよう

氏家 正裕氏

氏家:定禅寺通では、一般社団法人定禅寺通エリアマネジメントという組織が主導でエリアの活性化を行っていて、仙台協立はこの組織に参加しています。当社のほかにも、取り組みに賛同してくださっている会社の方々にご参加いただいています。

定禅寺通のクリーンアップは、この活性化の取り組みの中ではじまった活動です。「通りを活性化するにも、まずはきれいな環境を作っていくことだよね」ということで、クリーンアップの日は朝8時から竹中工務店さんのところにある公開空地に集合し、午前9時頃までの約一時間ごみ拾いをしています。当社では、社員がお揃いのオリジナルTシャツを着てやっていますよ。仙台銀行さんでも清掃活動をされているそうですね。

丹野 俊敬氏

丹野:はい。仙台銀行本店営業部の周りの清掃を、毎週水曜日の朝8時から行っています。頭取をはじめ職員が任意で参加していて、軍手をはめて、ビニール袋と鉄のハサミを持ってやっていますね。

白石 圭太郎氏

白石:良いですね。

氏家 正裕氏

定禅寺通のごみ拾いはどなたでも参加できるので、
今度是非一緒にやりましょう!

“世界一美しいごみ箱”という概念

氏家 正裕氏

「世界一美しいごみ箱プロジェクト」は、定禅寺通のクリーンアップの中で見えてきた、ごみ集積所の課題がはじまりとなっています。

定禅寺通では、事業ごみの集積所をケヤキの木の下に置いています。回収業者さんや地域の方が管理してくださるので長時間ごみが放置されることはないのですが、ごみ拾いできれいにしているはずのケヤキの木の下がごみの集積所になっていることが気になっていました。しかし、このほかにエリアに適した集積所がないため、すぐに解決が難しいのが現状です。

氏家 正裕氏
 

たまたま当社にはビル敷地内に空地があったので、回収業者さんと協議し、当社ビル近くの集積所は、当社ビル敷地内に置くことで、ケヤキの木の下の景観の問題は解決することができました。しかし、定禅寺通の事業ごみのあり方そのものが解決したわけではありません。そこで、ごみを隠して見えなくするのではなく、ごみについて前向きに考えていこうというスタンスで、本プロジェクトを立ち上げたのです。

「世界一美しいごみ箱」というプロジェクト名は、ごみ箱という物を指しているのですが、実際は概念的な意味合いで名付けました。

ごみって、生きている人全員が出しているもの。しかも、自分で処理するのは難しく、誰かに委託して処理してもらわなければならない。ごみを出して自分の手を離れてしまうと、気にならないわけではないけれど一旦そこで終わりという感じがありますよね。

このプロジェクトでは、私たちがごみを捨てる場所のひとつであるごみ箱に着目し、それを美しくデザインすることによって、ごみにまつわる色々な事例に意識を向けるきっかけになったら良いなと思ったのです。
ただ、「世界一美しいごみ箱」という言葉だけがひとり歩きするようにはしたくない。そんな時に、仙台銀行さんからチャレンジドジャパンさんをご紹介いただいたんです。

「世界一美しいごみ箱」プロジェクトのごみ箱をデザインする上で、誰かに絵を描いてもらいたいと思っていた時、仙台銀行さんから「チャレンジドジャパンさんで就労支援している方々が描いた絵をオフィスに飾りませんか?」というご提案があり、そこでチャレンジドジャパンさんを知りました。

定禅寺通には、SDGsや多様性のイメージを持たせていきたいので、ゴミ箱の絵も、条件が合致する方に描いていただきたいと思っていました。そんな時にいただいたご提案で、「あ、ご縁だな」と思ってお願いしたんです。

丹野 俊敬氏

チャレンジドジャパンさんは私共の大切なお客様です。障がいのある方の就労支援をされていて、SDGsに前向きに取り組んでいらっしゃるのがとても良いなと思いまして、仙台銀行が創業70周年を迎えたタイミングで、記念ポスターの絵を依頼した経緯があります。

ポスターの依頼は、チャレンジドジャパンさんからいただいた日めくりカレンダーがきっかけになっています。頭取がカレンダーを見て、「これはすごい!力強い絵だ!」と感銘を受けてポスターの絵をお願いしたんです。川、海、空などのお題を出させていただき、描いていただいた約20種類の絵から選ばせていただきました。

丹野 俊敬氏

思いおもいの「素材」を生み出す

白石 圭太郎氏

これまでのお二人のお話の中で、チャレンジドジャパンの作品は、障がい者アートだとイメージされる方もいらっしゃるかもしれません。実は、チャレンジドジャパンで製作する絵は、普段、絵を描くことをメインとしていない方々の作品というのが特徴なんです。

弊社では、「すべての人が役割を持ち、認め合える社会へ」という理念を掲げています。社会の中で認めてもらえるように、自分自身を認められるように、そのきっかけのひとつとして絵を描く。これを我々は「素材を描く」と表現しているんです。皆「絵で食べていく!」と根詰めて描いているわけではないので、カジュアルな雰囲気の中から出てくる素材というのが良いのかなと思っています。

白石 圭太郎氏
 

例えば、カレーのパッケージの絵のオーダーを受けた時に、皆で実際にカレーを食べてから描いていきました。今回のプロジェクトでは、定禅寺通というお題をいただいて描いてみるというところで、どんな素材が生まれてくるのか楽しみですね。

チャレンジドジャパンの提供する絵は素材なので、アートに括れないところがありますね。描き手一人では完成しないんです。その人はあくまでもデザインの素材を作るのであって、それを仕上げるのはプロのデザイナーさんやクライアントさんであったりするわけなんです。全部の役割に大きな価値があって、一人だけでは成り立たない。これは社会もそうですし、ごみ拾いも誰かがやってくれないと成り立ちませんよね。チャレンジドジャパンが素材を提供することで、普段陽が当たらない部分をプロジェクトを通して表現できると良いのかなと思っています。

多様性という美しさを
ごみ箱へ乗せて

氏家 正裕氏

ひとつの素材という話、僕はすごく良いなと思いました。才能がある方の描いたものをアート作品として拡めていくのはもちろん素晴らしいことですが、障がいのある方の誰もが絵を描くことが得意なわけではない。色々な方の絵を素材として使って、分業しながら価値を高めていくのはとても面白いですよね。

まちづくりも同じです。国や自治体がやってくれると思ってしまうところがありますが、誰もが一市民なんです。誰か飛び抜けてすごい人が牽引していくのではなく、皆さんの得意なことや面白いものを少しずつ持ち寄って形にしていくべきもの。多様性を持ちながら、行動していくというのはそういうことなんだろうなぁと思います。

丹野 俊敬氏

今のお話を聞いていて、「世界一美しいゴミ箱プロジェクト」は非常に可能性があって多様性に富んでいるので、色々な会社さんが繋がっていけばもっと面白くなっていくのではないかと感じます。仙台協立さんの想いに賛同してプロジェクトに参加する会社さんが増えていけば、良いまち、社会になっていくと思います。引き続き、うちのお客様をお繋ぎしたりしてお手伝いができたらと思います。

世界に誇れる
美しい通りを目指して

白石 圭太郎氏

今回のプロジェクトは定禅寺通が起点になっていますが、定禅寺通は、仙台市民の心であり誇りですよね。きれいでかつ賑やかであってほしい。でも、そこに対して当事者意識があったかというと、たまに来るだけだったなぁという反省があります。一市民としても、もっと当事者意識を持って取り組んでいかなければなと思いました。

丹野 俊敬氏

定禅寺通のようなきれいなケヤキ並木って他にないですよね。この通りを大事にしながら、人が集うようなまちにしていかなければいけない。今、さまざまなまちづくりのプロジェクトが進んでいますから、景観も含めて仙台が誇れる通りにしていきたいですね。

氏家 正裕氏

定禅寺通が仙台市民にとって象徴的な通りになっていることは間違いないですね。反面、賑わいがある通りなのかというと、実はそうでもない。定禅寺通の商業的な価値はそれほど高くないんですね。きれいですが、賑わいのない通りになってしまっているのをなんとかしようと活動してきているのが、冒頭でお話しした、定禅寺通活性化の取り組みなんです。

駅前一極集中になりつつあるなか、定禅寺通も恒常的に来る目的がある通りにしようと活動しています。仙台駅前から青葉通、定禅寺通、西公園界隈まで人が行き来する流れを作れないと、多様性の低いまちになってしまいます。

この中で、ごみの問題をすぐに解決するのは難しいですが、色々な方々のお力添えによって少しずつ解決に向かい出すのではないかと思うので、まずは美しいゴミ箱を作るところからはじめます。ごみやCO2の削減など、世界が解決しなければならない課題にたくさんの方に前向きに関心を持っていただけるよう、今回のプロジェクトがそのきっかけになればと思います。

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interviewer

奥 口 文 結

奥 口 文 結

おくぐち ふみゆ | FUMIYU Okuguchi
ファシリテーター / ブランドデザイナー

公立大学法人 宮城大学 事業構想学部 事業計画学科 卒業。 マーケティング、ブランディングを専攻。 2013年 株式会社エフエム仙台入社、ラジオパーソナリティとして番組制作に携わる他、 番組のウェブ・広報、イベント企画・運営に携わる。 2019年フリーランスに。宮城を拠点に、ファシリテーターやMCのほか、 もの・ことのブランディングデザインを手がける「FOLK GLOCALWORKS」主宰。